ALT・ASTが高いと言われたら

健診・肝機能異常

ALT・ASTが高いと言われたら

健診でALTやASTが高いと言われても、原因は脂肪肝だけとは限りません。飲酒、薬剤・サプリメント、ウイルス性肝炎、胆道系の病気、筋肉の影響などを整理し、必要に応じてFIB-4や腹部エコーで肝線維化リスクも確認します。

この記事は一般的な医学情報です。検査値の解釈は、症状、既往歴、内服薬、飲酒量、再検査結果、画像検査で変わります。黄疸、強いだるさ、濃い尿、腹痛、急な数値上昇がある場合は早めに医療機関へ相談してください。

この記事では、検査値を単独で決めつけず、症状、背景疾患、ほかの検査と並べて読むことを重視します。数字は入口であり、結論そのものではありません。

数字を見る前に考えたいこと

検査値は便利ですが、ひとつの数字だけで病状や治療方針が決まるわけではありません。私ならまず、症状、既往歴、薬、ほかの検査値と並べて、どの程度急いで評価すべきかを考えます。

図解で要点を確認

ALT・ASTが高いと言われたらの図解1: ALT・AST高値の見方
ALT・ASTが高いと言われたらの要点を整理した図解です。
ALT・ASTが高いと言われたらの図解2: 次に確認する検査
ALT・ASTが高いと言われたらの要点を整理した図解です。

ここで誤解しやすい点:ALT高値は放置せず「原因」を確認します

ALTとASTは、肝臓の細胞への負担や障害を反映する代表的な血液検査です。日本肝臓学会の奈良宣言2023では、健診などでALT 30 U/L超を認めた場合、まずかかりつけ医等を受診することが勧められています。

ALT 30 U/L超は、健診施設の基準値では「正常範囲」と表示されることもあります。すぐ重い病気という意味ではありませんが、脂肪肝、飲酒、薬剤、ウイルス性肝炎などの原因を確認し、必要に応じて腹部エコーやFIB-4 indexで次の評価につなげることが大切です。

ALT・AST・γ-GTPの見方

項目 主に見ること 注意点
ALT 肝細胞への負担を比較的反映しやすい 脂肪肝、肝炎、薬剤性肝障害などで上がる
AST 肝臓だけでなく筋肉などの影響も受ける 激しい運動、筋疾患、心筋障害なども確認する
γ-GTP 飲酒、胆道系、薬剤などの影響を受けやすい 飲酒がなくても脂肪肝や胆道系で上がることがある
ALP・ビリルビン 胆汁の流れ、黄疸、胆道系の病気 高い場合は胆石、胆管炎、胆道閉塞なども考える

脂肪肝だけと決めつけない

肥満症、糖尿病、脂質異常症、高血圧がある場合、MASLDやMASHは重要な候補です。一方で、肝機能異常の原因は一つとは限りません。

脂肪肝・MASLD/MASH

体重、腹囲、HbA1c、脂質、血圧、腹部エコー、FIB-4を組み合わせて見ます。

飲酒

飲酒量をg/日で確認します。週末だけ多い飲み方も見落とさないことが大切です。

薬剤・サプリメント

処方薬、市販薬、漢方、サプリメント、筋トレ系製品も確認します。

ウイルス性肝炎

厚生労働省は、肝炎ウイルス検査を受けたことがない人に一度は検査を受けることを勧めています。

次に確認したい検査

  1. 再採血。 AST、ALT、γ-GTP、ALP、ビリルビン、アルブミン、血小板、PT-INRなどを確認します。
  2. 肝炎ウイルス検査。 B型肝炎、C型肝炎の検査歴がない場合は確認します。
  3. 腹部エコー。 脂肪肝、胆石、肝臓の形、脾腫などを見ます。
  4. FIB-4 index。 年齢、AST、ALT、血小板数から肝線維化リスクをふるい分けます。
  5. エラストグラフィ。 EASL-EASD-EASOのMASLDガイドラインでも、FIB-4などの血液スコアから必要に応じて肝硬度評価へ進む段階的評価が示されています。
  6. 追加の原因検索。 経過や検査値によっては、自己免疫性肝疾患などを確認する採血を追加することがあります。

早めに相談したいサイン

  • ALT・AST高値が何か月も続いている
  • 数値が前回より大きく上がっている
  • 黄疸、濃い尿、強い倦怠感、食欲不振、腹痛がある
  • 血小板が低い、アルブミンが低い、ビリルビンが高い
  • 脂肪肝、糖尿病、肥満症、睡眠時無呼吸がある
  • 肝炎ウイルス検査を受けたことがない

AST/ALT高値が長く続く場合や、FIB-4高値、血小板低下、画像異常などがある場合は、脂肪肝だけと決めつけず専門的評価を検討します。

主治医に聞くとよい質問

  • ALTとASTのどちらが主に上がっていますか。
  • 脂肪肝、飲酒、薬剤、肝炎ウイルスのどれを優先して確認しますか。
  • 腹部エコーやFIB-4 indexは必要ですか。
  • 肝炎ウイルス検査を受けた記録はありますか。
  • 次の採血はいつ頃がよいですか。

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根拠

  • 日本肝臓学会 奈良宣言2023 一般向けページ。
  • 厚生労働省 肝炎ウイルス検査について。
  • AASLD Practice Guidance on the clinical assessment and management of NAFLD. PMID: 36727674.
  • EASL-EASD-EASO Clinical Practice Guidelines on MASLD. PMID: 38851997.

この記事は三浦正樹個人による医学情報発信であり、所属機関の公式見解ではありません。特定の医薬品・検査・医療機関を広告する目的ではありません。